こまメモ

Twitter以上技術ブログ未満

アジャイルのライトウィングを志向した Scrum Developers Night! というイベント

昨年の9月ごろから、月に1回弱くらいのペースで、「Scrum Developers Night!」というイベントを(オンラインで)開催している(次回開催は4/28)。

smn.connpass.com

このイベントは、「Scrum Masters Night!」という以前から存在しているイベント/コミュニティから派生したものだ(connpassのグループとしては今でも間借りの状態)。形式としても、参加者がお題を持ち寄ってディスカッションをするOST(Open Space Technology)を共通して採用している。「Scrum Masters Night!」には新型コロナ前のリアルイベントでも参加したことがあるのだが、夏前にオンライン開催されたときに以下のようなツイートをしていたら運営メンバーの人に声をかけてもらい、実際に「Scrum Developers Night!」を開催することになった。以来、運営として関わりつづけている。

最近の自分のTwitterからはそれほど感じないかもしれないが、自分はアジャイル大好き人間だった(今も別に嫌いになったわけではない。価値観としてのアジャイルは会社でも当たり前に共有されているので殊更に主張しなくなっただけだ)。一番こじらせていたときの自分の考えはもう片方のブログの方を漁ってもらえば小っ恥ずかしい文章が出てくるはずなので敢えて今更述べない。

自分がアジャイルに接近したのは開発プロセスの方面からだった。それは『カイゼン・ジャーニー』と『エンジニアリング組織論への招待』という自分の社会人1年目の終わりごろに出版された2冊の書籍から自分が大きな影響を受けた結果でもあると同時に、技術面でのスキルや経験が乏しかった自分が(攻撃的な言い方をすれば)「技術から逃げた」結果でもあっただろう。

前職時代は、アジャイルというものが価値観として受け入れられていなかったのだが、自分は問題を「社会学的なもの」だと同定し、愚かにも正面突破しようとしていたので、その面でも技術の方面への関心事は二次的なものだった。しかし、現職では価値観の水準においてはアジャイルは一定程度には共有されており、(もちろん開発プロセスの方の改善の余地はたくさんあるのだが)技術的な問題の方に自分としても関心が向くようになってきた。また、既に運用に乗っているWebシステムを動かしながらそこに機能をリリースしていくという開発のあり方も、いわゆるDevOpsの技術的なプラクティスへの自分の関心を強めているだろう。

そういうわけで、「レフトウィング」からアジャイルに入った自分が、この1年くらいは「ライトウィング」の方に傾斜してきているのだ。

blogs.itmedia.co.jp

「レフトウィング」の方がスクラムを中心に今でもまとまりを保っているのに対して、「ライトウィング」の方はというと、アジャイルの技術的プラクティスとして始まった(あるいは注目された)ものたちは個別には大いに発展しているのだが、しばしば「技術的プラクティスはXPに〜」などと言われるけど当のXPについてまとまった話もされないし凝集度の高いコミュニティがあるわけでもない、という感じの状況だ。

(時にスクラムを採用するなどしながら)アジャイルの価値観を共有して開発をしようとしていると、自動テストやデプロイの仕組みの改善、技術的負債の解消やインクリメンタルな設計といった技術的な課題がいくらでも出てくる。「技術的卓越性と優れた設計に対する不断の注意が機敏さを高め」*1るのだ。技術の問題も重要なのだ。

また、例えばスクラムでは、スクラムという名を冠したロールである「スクラムマスター」や、何かと期待値が高すぎるといわれるプロダクトオーナーの方に注目が集まりがちだと思うのだが、チームの大多数は開発者なのだという事実がある。それはスクラムを採用していないチームであっても変わらないだろう。アジャイルスクラムでいい感じに開発しようとしてもがいている人のうち、少なからぬ量が開発者であるということだ。

というわけで、もっとdevelop(er)の話をしようぜ、ということで「Scrum Developers Night!」が生まれたんだよ、というお話でした。自分はまだまだ経験が足りないけど、他の運営メンバーには開発者としての経験も豊富な人がいるし、参加者同士での情報・意見交換から生まれるものも多いと思うので、興味ある人は一度覗きにきてください。Discord開催なので、一言も喋らなくても大丈夫ですよ。