「登壇とかしないんですか?」と問われると、即座に「いやぁ別に喋りたいことないですし。」と答えてしまうのだが、少し真面目に考えてみたいなと思う。
登壇をすることへのモチベーションは、人によって異なるであろうが、よくあるのは以下のようなものだろう。
- コミュニティに貢献したい
- 自分の得た知見を伝えたい
- 発表することによりフィードバックを得たい
- 登壇をきっかけに勉強したい、考えをまとめたい
- プレゼンテーションの練習をしたい
- 楽しい
ひとつひとつ、自己点検してみたいと思うが、モチベーションについて考える前に、反対にデモチベートしてくる要因について少し触れておきたい。これはそもそもというところなのだが、知識や考えを限られた長さにまとめるというのは自分がかなり苦手とする分野だと思っている。学生時代、スピーチ的なものをする機会があったが、これの準備が本当に苦痛だった。大した長さではないスピーチの原稿を用意するのに、数ヶ月の時間が与えられていたのだが、全くまとまらなかった。スピーチ自体の性質にも依るところがあったと思うが、いまだに嫌な思い出である。
口頭での発表以外だと、レポートや論文というものもあったが、これも苦手だった。大学に入ってから研究者に憧れて(そう、単に「憧れて」!)、最終的に大学院にまで進学したが、レポートや論文の執筆はいつもしんどかった。じゃあ執筆以外の勉強はスイスイ行っていたのかと言われるとそういうわけではないのだが……。
というわけで、文章にまとめる能力に苦手意識があるということは伝わったと思う。人前で何かを喋るということにはそこまで抵抗はないのだが、準備段階が本当に苦痛なのである。想定される「いやお前今文章書いてるやん」という問いに対しては、「まとまりを無視してダラダラ書くことと、主張を明確にして補足情報を必要十分にして書くことは別なんですよ」とあらかじめ答えておきたい。
以上のような「そもそも登壇(より正確に言えばその準備)に対する心理的ハードルが高い」ということを踏まえつつ、モチベーションについて考えていこう(気づいている人は気づいていると思うが、「少し」と言っていたのに既にだいぶ長い文章を書いてしまった。こういうところが自分が文章を書くのが苦手だと言っているところなわけです)。
まず、「コミュニティに貢献したい」だが、あんまり登壇との関連でそういうことをモチベーションとして思ったことがない。TwitterのTLで困っている人がいて、助けになりそうな情報を自分が持っていたら喜んで提供するけれども、自分が登壇することでコミュニティに貢献できるという感覚がない。とはいえ、ここは自分がもっと知識や経験を蓄えて、自分の持っている知見で色んな人を助けられそうだと思えるようになったらまた変わってくるかもしれない。話はそれるが、コミュニティへの貢献という話が出たのでとりあえず↓を貼っておく。
次に「自分の得た知見を伝えたい」だが、これを考えると「自分は最近どんな知見を獲得できているだろうか」ということを考えざるをえない。そう考えてみると、全く学びがないということはなく、社内に対して共有することは多いのだが、広く世の中に伝えるような知見というのを得られているかというと、(得られているとは思うのだが)そのレベルまで学びを抽象化できていないなと思う。これは反省すべきことだなと思う。
次に「発表することによりフィードバックを得たい」。うーん、フィードバックを得て更にアップデートしたいようなアイデアを今のところ持っていない。上級者向けのモチベーションだと思う。端的に誤っているかもしれないと思うようなことはそもそも発表したいと思わないし。
「登壇をきっかけに勉強したい、考えをまとめたい」。これは、うん、やった方がいいかもしれない。かつてブログを書いていたときはこれが一つの鍵だった気がする。基本的に、自分の勉強は現場での困りごとをなんとか突破しようとするところからエネルギーを得ているので、ブログや登壇に向くようなテーマである確率は低いのだが、チャンスを見つけたらアウトプット駆動でやっていくというのは考えるべきことだと思った。
「プレゼンテーションの練習をしたい」。もしかしたらこれはした方がいいのかもしれないが、仕事で人に物を説明する機会はいくらでもあるのでそこで意識的に訓練した方がいいと思う。ってかそれはやらないといけないな……。
最後、「楽しい」。いや、楽しくないですね。喋ること自体が仮に楽しかったとしても準備の苦痛を上回ることは多分ない。
というわけで、「登壇していくぞ!」という結論になるわけではないのだが、色々と考え直すことがありそうだ、という日曜の夜でした。